ArcGIS GeoEvent Server を、VMware vSphere などの仮想環境内で配置することができます。GeoEvent Server の仮想化およびクラウド環境のサポートは、ArcGIS Server と同じです。公式にサポートされているバージョンの最新リストについては、ArcGIS Server の「システム要件」をご参照ください。
インフラストラクチャ内の仮想ハードウェアは、クラウド プロバイダーで管理されているクラウド インフラストラクチャとは異なります。仮想環境を使用した場合でも、仮想コンピューターが実行されているハードウェア インフラストラクチャを所有、操作、維持できます。仮想ハードウェアを使用すると、オンプレミスで独自のインフラストラクチャを維持しながら、リソースの効率を上げたり、災害復旧機能を高めたり、新しいオペレーティング システムをテストしたりすることができます。GeoEvent Server をクラウド インフラストラクチャに配置することもできます。これにより、物理的なインフラストラクチャを稼働させて維持する役割がクラウド プロバイダーに移されます。クラウド内の GeoEvent Server と Esri のクラウド配置ツールの詳細については、「クラウド上の ArcGIS Enterprise」をご参照ください。
仮想環境のベスト プラクティス
物理ハードウェアは、通常、仮想環境より好ましいです。ただし仮想環境が完全なリソースの分離を提供する場合、GeoEvent Server は、その仮想環境内で十分適切に動作できます。ハードウェア レベルで分離された仮想インスタンスは専用のリソースを提供し、GeoEvent Server はそのリソースから恩恵を受けます。ほとんどの仮想環境が提供するフェイルオーバー機能およびスケーリング機能は、さらに柔軟性と回復力を与えます。パフォーマンス、信頼性、および回復力に伴う問題はすべて、分離された専用のリソースを提供しない仮想環境において観察されてきました。
リソースの分離に加えて、システム リソースの選択が重要になります。最適化された CPU、RAM、およびローカル ストレージはすべて、あらゆるコンピューター (物理または仮想) を改善します。リソースの選択の詳細については、「コンピューターのリソースの割り当て」をご参照ください。仮想ハードウェア インフラストラクチャで GeoEvent Server を設定している場合は、安定性とパフォーマンスを最適化するために従うべきベスト プラクティスがあります。
- ホストのハイパーバイザーに十分なリソースがあるか、リソースが直接割り当てられていることを確認します。これには、CPU やメモリのリソースも含まれます。使用可能なリソースの量や、リソースの割り当て方法の詳細については、ハイパーバイザーのプロバイダーの製品ドキュメントをご参照ください。
- GeoEvent Server はディスクに多大な負荷をかける可能性があるため、個々の仮想コンピューターが物理的に同じ 1 つのディスク上で実行されていないことを確認します。可能な場合は、高性能なソリッド ステート ドライブ (SSD) を使用してください。
- 通信が中断しないように、他の ArcGIS Enterprise コンポーネントと一緒に、GeoEvent Server を 1 つの仮想ネットワーク内にインストールして実行します。
- 1 つの GeoEvent Server につき、4 CPU/16 GB RAM ～ 8 CPU/42 GB RAM を使用することをお勧めします。
- システムをスケーリングする場合、単一コンピューターにさらにリソースを追加するよりも、複数コンピューターでのイベント フィードの分割が非常に効果的です。
それぞれの目的に合わせて ArcGIS Server サイトをフェイルオーバー構成、高可用性構成、または分離構成にする場合は、上記の推奨事項に従って、サイトごとにコンピューターのサイズを決定する必要があります。
VMware への GeoEvent Server の配置
GeoEvent Server を物理ハードウェアに配置する場合とほとんど同じ方法で、GeoEvent Server を VMware に配置できます。Windows と Linux の両方をサポートしています。ワークフローは次のとおりです。
インストールした ArcGIS Server および ArcGIS GeoEvent Server を使用して、VMware テンプレートを作成します。
テンプレートから仮想コンピューター (VM) を起動し、コンピューターの名前を変えて再起動します。
ArcGIS Server サイトを VM 上に作成します。
また、追加の VM を起動してこれらをサイトに参加させることもできます。
サービス、アプリケーション、必要に応じて ArcGIS Web Adaptor を構成します (ArcGIS Web Adaptor はサイトをエンタープライズ Web サーバーと統合します)。
GeoEvent Server を VMware に配置するときに注意するべき事項を以下に示します。
インストールした GeoEvent Server を使用して、VMware テンプレートを作成する
最初に、GeoEvent Server 仮想コンピューター (VM) のマスター コピーとして VMware テンプレートを作成する必要があります。このテンプレートを使用して追加の同一の仮想コンピューターを作成し、プロビジョニングすることができます。テンプレートを作成する際は、次の点に注意してください。
- ArcGIS Server をインストールし、単一コンピューター サイトを作成し、GeoEvent Server をインストールし、それを認証する必要があります。GeoEvent Server が単一コンピューターの ArcGIS Server サイトのみに配置されるため、後でサイトを結合することを心配する必要はありません。
- 必要に応じて、GeoEvent Server 構成を GeoEvent Server にインポートすることもできます。テンプレートの各仮想コピーは、同じ GeoEvent Server 構成を使用します。これによって、コンピューターを複製または再作成する必要がある場合に、時間を節約します。
- Windows では、GeoEvent Server は、オペレーティング システムの起動時に遅延を伴って自動的に起動するように、構成されています。Linux では、これを手動で構成する必要があります。
GeoEvent Server は仮想環境と互換性があり、VMware 上で実行したり、VMware 上で稼働している ArcGIS Enterprise に接続したりするための特別な構成を必要としません。
テンプレートからの VM の起動とコンピューターの名前の変更
ArcGIS Server での VMWare テンプレートの利用の詳細については、「VMware での ArcGIS Server サイトの配置」をご参照ください。
GeoEvent Server 構成がテンプレートに読み込まれた場合、コンピューターの名前を変更しても、GeoEvent Server 構成に影響を与えません。コンピューター固有のリソースが GeoEvent Server 構成に存在する場合、VM が起動された後に構成を作成するか、XML 構成ファイル (テキスト エディターで変更できます) から構成をインポートすることをお勧めします。
この時点で、必要に応じてコンピューターをネットワークに追加できます。これにより、コンピューターは他のエンタープライズ GIS コンポーネントを参照できます。
サイトのバックアップおよび回復
VMware などの仮想環境の利点は、サイトのバックアップや問題が発生したときの復旧が容易であることです。VMware テンプレートを使用して、コンピューターの設定を維持することができます。ArcGIS Server によって提供されるバックアップ ユーティリティおよび復元ユーティリティは、GeoEvent Server に適用したり使用したりできません。
GeoEvent Server は、構成のバックアップ コピーをローカル ディスクに格納します。バックアップ ファイル (GeoEventBackup-<日付>.xml) を、サイトとは別のコンピューター (可能であれば物理サーバー) 上にコピーして保存することを検討してください。
GeoEvent Server のバックアップの詳細については、「自動バックアップ」をご参照ください。