標準的な ArcGIS Enterprise 環境で ArcGIS GeoEvent Server の配置を計画する場合、GeoEvent Server に固有の考慮するべきさまざまな概念があります。
イベント処理
GeoEvent Server がイベント データ (またはジオイベント) を受信する場合、サイズ、レート、量、解析、および出力先という 5 つの要因が、そのイベントを処理する時間に影響を与えます。
イベント サイズ
ほとんどの場合、2 つとして同じイベントはありません。イベントは、さまざまな数のフィールドを含むことができ、テキスト フィールドを含むイベントは、不明な数の文字のバイトを含んでいる可能性があります。一般に、イベントのサイズが大きいほど、GeoEvent Server によってそのイベントを処理する時間が長くなります。イベントを処理する時間に加えて、イベントが大きいほど、小さいイベントと比べて、それらのメッセージ キューを格納するためのより多くのディスク容量が必要になります。
イベント速度
GeoEvent Server によって処理されるイベント データの速度は、通常、イベント数/秒単位で計測されます。イベント速度 (イベント数/秒) は、イベント量 (処理されるイベントの数) をイベントの速さ (イベントが処理される速さ) で割ることによって決定されます。
Event Velocity (events/second) = Event Volume (events) / Event Speed (seconds)
イベントのレート
イベントが取り込まれるレートは、GeoEvent Server に対して予想される負荷の指標になります。通常、イベントのレートは、同じトラック ID を持つイベント間の時間によって計測されます。イベントが速く到着するほど、コンピューターの CPU およびローカル ファイル ストレージ システムに対する GeoEvent Server の要求が大きくなります。上記の式の分母として、イベントのレートが小さくなるほど (イベントの数が少なくなるほど)、イベント量が大きくなります。
ベスト プラクティスとして、高速なイベントの場合、変化のレートが低速なイベントの変化のレートより頻繁であるため、イベント速度の時間を減らすことをお勧めします。一般に、イベント速度の時間はイベントのレートより小さい必要があります。例:
- 短いレートのイベント - 変電所からの更新が、1 秒おきに到着することがあります。このイベントの処理の妥当な目標は、1 秒よりも大幅に小さくすることです。
- 長いレートのイベント - 配達サービス車両からの更新が、60 秒おきに到着することがあります。このメッセージの処理の目標が約 10 ~ 20 秒になるのは、理にかなっています。
イベント量
イベント量は、システム内に存在する一意のイベントの数を計測します。イベント量は、通常、イベントのセットと同義です。イベント量は、推定イベント速度を決定するために、イベントの速さと共に使用されます。通常、イベント量が大きいほど、GeoEvent Server に対する負荷が増大します。大きいイベント量は、小さいイベント量よりも良い CPU およびローカル ストレージのパフォーマンスを必要とします。上記の式の分子として、イベント量が大きいほど、イベント速度が大きくなります。イベント量の例には、次のようなものがあります。
- 大きいイベント量 - 15,000 台の国有の車両を追跡する大量輸送の部署。
- 小さいイベント量 - 12 台の除雪車を追跡する地方自治体。
イベントの解析
イベントが GeoEvent Server を通過するときに、フィルターおよびプロセッサを使用してイベントを処理する量およびイベントに対して実行される解析が、コンピューターのリソースおよびイベントの処理時間に影響を与えます。複雑な処理および解析ワークフローは、通常、コンピューターの CPU をより多く使用し、イベント データを処理する時間を増やします。フィールド エンリッチャー プロセッサを使用して受信データ フィードに情報を付加するなどの、特定の解析ワークフローは、コンピューターのネットワーク接続の使用率を増やすことがあります。
イベントの出力先
多くの場合、イベント データの配布は GeoEvent Server に影響を与えません。ただし、イベント速度などの特定の出力の操作が、特定の出力の能力を超える場合、いくつかの検討事項があります。予想されるイベント速度が、使用されている出力コネクタより大幅に大きい場合、高性能の GeoEvent Server を設計して実装するときに、異なる方法が必要になることがあります。
イベントのストリームおよびセット
イベント ストリーム
イベント ストリームは、GeoEvent Server において、入力コネクタによって取り込まれているか、出力コネクタによって配布されているイベントのセットとして定義されます。
メモ:
イベント ストリームは、出力コネクタの特定の実装であるストリーム サービスと同じではありません。
イベントのセット
イベント ストリームは、GeoEvent Server との間で流れる個々のイベントをすべて表しますが、イベントのセットは、イベント ストリーム内の一意のイベントのセットを表します。通常、一意性は、イベントのトラック ID に基づきます。ほとんどの場合、イベントのセットはイベント量と同義です。イベントのセットの例には、次のようなものがあります。
- 車両位置のイベント ストリーム内で、イベントのセットが、車両 VIN などの個別の車両識別子をすべて包含します。この例では、一意の VIN のセットがイベントのセットを表します。
- 水位計イベント ストリーム内で、イベントのセットが、水モニターの一意の識別子 (たとえば、センサーのシリアル番号) をそれぞれ包含します。水センサーの一意の識別子のセットが、イベントのセットになります。
ジオフェンス
GeoEvent Server の主要な機能は、既知のジオメトリまたはジオフェンスに対するイベント データのリアルタイム処理です。ジオフェンスは GeoEvent Server に読み込まれ、メモリに格納されます。ジオフェンスがメモリに格納されるため、コンピューターの RAM の量は重要であり、メモリに格納できるジオフェンスの数を決定します。RAM の量に加えて、RAM の種類は、特に解析されるジオフェンスが多い場合に、ジオフェンスがアクセスされる速度に影響を与えることがあります。
ジオフェンスの複雑さは、ジオフェンスの数よりも重要です。ジオフェンスが多くのポイントまたは頂点を含んでいるほど、GeoEvent Server が、リアルタイムの空間リレーションシップを実行するためにより多くのコンピューターの RAM を消費します。たとえば、次のジオフェンスの各セットが、同じ数のポイント/頂点を含んでおり、同じ量のコンピューターの RAM を消費することがあります。
- 地域全体の対象のポイントを表す 70,000 個のポイントのセット。
- それぞれ数百個のポイントの数百本の道路の中心線セグメントを含んでいる地域の道路網。
- それぞれ数千個のポイントを含んでいる、州の高精度の 25 の郡のポリゴン境界。