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[インシデントの検出 (Detect Incidents)] での Arcade 条件式の使用

GeoAnalytics ツール ボックスには複数のツールがあり、これを使用して条件式を適用することができます。

条件式を使用する GeoAnalytics ツール の用途や、適用できる条件式の制限事項はそれぞれに異なります。10.8.1 では、ArcGIS GeoAnalytics Server で使用されているすべての条件式が Arcade をサポートしています。

Arcade 関数の詳細

[インシデントの検出 (Detect Incidents)] における条件式

条件式は、[インシデントの検出 (Detect Incidents)] ツールでインシデントの開始条件と終了条件の指定に使用されます。[インシデントの検出 (Detect Incidents)] 条件の結果は、常に truefalse のどちらかになります。条件を使用して、インシデントにフィーチャを含める必要があるかどうか確認します。条件は各フィーチャに対してテストされ、インシデントとするフィーチャを決定します。ArcGIS GeoAnalytics Server 上で解析が実行される際に、計算が実行されます。使用できる条件式の例については、以下のセクションをご参照ください。

数学演算子および数学関数の例

条件式は、数値を数学的に処理することができます。次の表は、使用可能な演算の例を示しています。

Arcade で使用できる数学演算および数学関数の詳細

演算子説明結果

a + b

a 足す b。

fieldname には、1.5 の値が含まれています

$feature["fieldname"] + 2.5

4.0

a - b

a 引く b。

fieldname には、3.3 の値が含まれています

$feature["fieldname"]- 2.2

1.1

a * b

a 掛ける b。

fieldname には、2.0 の値が含まれています

$feature["fieldname"] * 2.2

4.4

a / b

a 割る b。

fieldname には、4.0 の値が含まれています

$feature["fieldname"] / 1.25

3.2

abs( a )

a. の絶対値 (正の値) を返します。

fieldname には、-1.5 の値が含まれています

abs($feature["fieldname"])

1.5

log( a )

a の自然対数 (底を e とする) を返します。

fieldname には、1 の値が含まれています

log($feature["fieldname"])

0

sin( a )

a の角度の正弦を返します。入力の角度の単位はラジアンです。

fieldname には、1.5707 の値が含まれています

sin($feature["fieldname"])

1

cos( a )

a の角度の余弦を返します。入力の角度の単位はラジアンです。

fieldname には、0 の値が含まれています

cos($feature["fieldname"])

1

tan( a )

a の角度の正接を返します。入力の角度の単位はラジアンです。

fieldname には、0 の値が含まれています

tan($feature["fieldname"])

0

sqrt( a )

a の平方根を返します。

fieldname には、9 の値が含まれています

sqrt($feature["fieldname"])

3

min( a, b )

a と b のうちの小さい方の数値を返します。

fieldname には、1.5 の値および -3 の値が含まれています

min($feature["fieldname"], -3)

-3

max( a, b )

a と b のうちの大きい方の数値を返します。

fieldname1 には、1.5 の値、fieldname2 には -3 の値が含まれています

max($feature["fieldname1"], $feature["fieldname2"])

1.5

constrain(<value>,<low>,<high>)

入力値が制限範囲内にある場合、入力値を返します。入力値が下限値よりも小さい場合、下限値を返します。入力値が上限値よりも大きい場合、上限値を返します。

constrain($feature["distance"], 0, 10)

constrain($feature['Store dist'], 6, distance)

distance が 0 よりも小さい場合は 0 を返し、distance が 10 よりも大きい場合は 10 を返し、それ以外の場合は distance を返します。

Store dist が 6 よりも小さい場合は 6 を返し、distanceStore dist よりも大きい場合は distance を返し、それ以外の場合は Store dist を返します。

インシデントを検出する条件のための乗算の例。

$feature["Distance"] * 2 > 50

テキスト関数の例

[インシデントの検出 (Detect Incidents)] の条件式は、テキストを処理することができます。次の表は、使用可能な演算の例を示しています。

Arcade で使用できるテキスト関数の詳細

演算子説明結果

concatenate( <values>, <separator>)

値を 1 つに連結して、文字列を返します。

  • values - 連結する文字列値の配列です。
  • separator (オプション) - values パラメーターが配列の場合、連結に使用する区切り文字です。または、最初のパラメーターに単一値が指定された場合は、連結対象の文字列です。指定されない場合、空になります。

fieldname には、GeoAnalytics の値が含まれています

Concatenate ([$features["fieldname"], "is", "great!"], ' ')

GeoAnalytics is great!

find(<searchText>, <text>, <startPos>)

文字列内の文字列を検索します。ワイルドカードはサポートされていません。

  • searchText - 検索対象のサブ文字列です。
  • text - 検索対象のテキストです。
  • startPos (オプション) - 検索元となる文字列内の場所のゼロベースのインデックスです。

fieldname1 には 14NorthStreet の値、fieldname2 には North の値が含まれています

find($feature["fieldname2"], $feature["fieldname1"])

2

lower(<value>)

文字列を小文字にします。

  • value - 小文字にする文字列です。

fieldname には、GEOANALYTICS の値が含まれています

lower($feature["fieldname"])

geoanalytics

find および lower を使用するテキストの例。

find(("north"), lower("146NorthStreet")) == 2

日付関数の例

日付を使用する式から [インシデントの検出 (Detect Incidents)] を使用できます。次の表は、使用可能な演算の例を示しています。

Arcade で使用できる日付関数の詳細

Arcade では、月は 0 (1 月) ~ 11 (12 月)、日は 1 ~ 31、時は 0 (午前 12 時 00 分) ~ 23 (午後 11 時 00 分)、分と秒は 0 ~ 59、ミリ秒は 0 ~ 999 の範囲の値を取ります。Arcade の date では、GeoAnalytics Server の場所の時刻値が返されます。

演算子説明結果

date( <value>, <month>, <day>, <hour>, <minute>)

値または値のセットを構文解析して日付文字列に変換します。

  • value(オプション) - UTC の 1970 年 1 月 1 日からの経過ミリ秒数、または年を表す数値です。年が指定された場合は、月と日も後続のパラメーターで指定される必要があります。この値は、日付文字列または日付に変換される ISO 8601 文字列にすることもできます。
  • month (オプション) - 月 (0-11) です (0 は 1 月、11 は 12 月)。
  • day (オプション) - 日付 (1-31) です。
  • hour (オプション) - 1 日の時刻 (0-23) です。
  • minute (オプション) - 分 (0-59) です。
  • second (オプション) - 秒 (0-59) です。
  • millisecond (オプション) - ミリ秒 (0-999) です。

fieldname には、 1476987783555 の値が含まれています

例 1: Date($features["fieldname"])

例 2: Date(2017,0,14,0)

例 3: Date()

例 1: 20 Oct 2016 11:23:03 am

例 2: 14 Jan 2017 12:00:00 am

例 3: 現在の時間を返す

DateDiff(<date1>, <date2>, <units>)

ある日付から別の日付を減算して、その差を指定の単位で返します。

  • date1 - 2 つ目の日付を減算する日付値です。
  • date2 - 1 つ目の所定の日付から減算する日付値です。
  • startpos (オプション) - 2 つの所定の日付の差として返す値の単位です。サポートされている単位のタイプには、millisecondssecondsminuteshoursdaysmonthsyears があります。デフォルト値はミリ秒です。

例 1: DateDiff(Date(2017,1,14,0), Date())

例 2: DateDiff(Date(2017,1,14,0), Date(), "Years")

結果は、このコマンドをいつ実行するかによって変わります。

例 1: -20532129137

例 2: -0.6546783768647119

Year(<dateValue>)

所定の年を返します。

  • value - 年を取得するための日付の値です。

例 1: fieldname は、Date の値を持つ 09 Oct 2017 04:30:43 pm タイプのフィールドです

Year($feature["fieldname"])

例 2: fieldname は、2012-09-27 の値を持つ ISO 8601 文字列として書式設定された文字列フィールドです

例 1: 2017

例 2: 2012

条件付き演算子

条件付きステートメントでは、以下の演算子を使用できます。

演算子説明結果

a > b

a < b

a が b よりも大きい

a が b よりも小さい

10 > 2

False

a >= b

a <= b

a が b 以上である

a が b 以下である

abs(-10) >= 10

True

a != b

a が b と等しくない

abs(-3) != -3

True

a == b

a が b と等しい

abs(-5) == 5

True

<condition1> || <condition2>

条件 1 または条件 2 が満たされる。

(abs(-5) == 5) || (10 < 2)

True

<condition1> && <condition2>

条件 1 および条件 2 が満たされる。

(abs(-5) == 5) && (10 < 2)

False

論理演算子の例

条件付き演算子に加えて、[インシデントの検出 (Detect Incidents)] に高度な論理演算子を使用することもできます。

Arcade で使用できる論理関数の詳細

Function説明結果

iif(<condition>,<true value>,<false value>)

条件が true と評価されると 1 つの値を返し、条件が false と評価されると別の値を返します。

<true value> および <false value> は、次の値にすることができます。

  • 数値フィールド。フィールド名にスペースがある場合は、角括弧を使用します。
  • 数値。
  • 関数。

iif($feature["field1"] > $feature["field2"], $feature["field1"], 0)

iif($feature["field1"] > $feature["field2"], iif($feature["field2"] = 0, $feature["field3"], $feature["field4"]), 0)

field1field1 よりも大きい場合は field2 を返し、そうでない場合は 0 を返します。

iiffield1 よりも大きい場合は 2 番目の field2 関数の結果を返し、そうでない場合は 0 を返します。

when(<expression1> , <result1> , <expression2> , <result2> , ... , <expressionN> , <resultN>, <default>)

1 つの条件式が true と評価されるまで、一連の条件式を順次評価します。

  • expression - 条件式。
  • result - 数値またはフィールドにすることができます。
  • default - どの条件式も一致しない場合のオプションの値。

when(($feature["field1"] + 10) > 1, 1,($feature["field2"] + 10) > 2 , 2, $feature["field3"])

field1 + 10 が 1 よりも大きい場合、1 を返します。そうでない場合、field2 + 10 が 2 よりも大きいかどうかをチェックします。大きい場合は 2 を返します。そうでない場合は field3 を返します。

decode(<conditional val> , <case1> , <result1>, <case2>, <result2>, ... <caseN>, <resultN>, <defaultValue> )

decode 関数は条件式を評価し、その値を以降のパラメーターと比較します。条件式が一致した場合、次のパラメーター値を返します。何も一致しない場合、最後のパラメーターがデフォルトの戻り値になるオプションがあります。

  • conditional val - フィールドまたは条件式にすることができます。
  • case - conditional val と比較される値。
  • result - 対応するケースが conditional val.と一致する場合の結果。
  • defaultValue - 他の値が true でない場合のオプションの値。

decode($feature["field1"] + 3 , $feature["field1"], 1, $feature["field2"], 2, 0)

conditional valfield1 + 3 と case1 の field1 の間の等式を比較します。true の場合は 1 を返します。false の場合は、field1 + 3field2 の間の等式を比較します。true の場合は 2 を返し、そうでない場合は 0 を返します。

トラック対応の例

さらに、[インシデントの検出 (Detect Incidents)] や [フィールド演算 (Calculate Field)] など、一部の GeoAnalytics ツール は Arcade でトラック対応方程式を使用できます。

Function説明結果

TrackStartTime()

トラックの開始時間をエポックからの経過秒数をミリ秒で計算します。

2017 年 1 月 2 日に開始するトラックを使用します。

TrackStartTime()

1483315200000

TrackDuration()

トラックの開始から現在の時間ステップまでの期間をミリ秒単位で計算します。

2017 年 1 月 2 日に開始するトラックを使用し、現在時間は 2017 年 1 月 4 日です。

TrackDuration()

172800000

TrackCurrentTime()

トラック内の現在の時間を計算します。

2017 年 1 月 3 日の午前 9 時に発生したフィーチャを使用します。

TrackCurrentTime()

1483434000000

TrackIndex

計算されているフィーチャの時間インデックスを返します。

トラック内の最初のフィーチャで、この値を計算します。

TrackIndex

0

TrackFieldWindow(<フィールド名>, <開始インデックス>, <末尾インデックス>)

所定のフィールドの指定された時間インデックスの値の配列を返します。ウィンドウ機能により、時間を前後できます。条件式は、トラックの各フィーチャで評価されます。

  • 現在のフィーチャはインデックス 0 です。
  • 正の値は、将来発生する (現在の値の後にある) フィーチャを表します。たとえば、1 は配列の次の値です。
  • 負の数字は、過去に発生した (前のフィーチャの前にある) フィーチャを表します。たとえば、-1 は配列の前の値です。

MyField は、[10, 20, 30, 40, 50] の値を順番に並べ替えました。式はトラック内の各フィーチャで評価されます。返される結果には、開始フィーチャが含まれ、終了フィーチャは含まれません。

例 1:TrackFieldWindow("MyField,-1,2)

例 2:TrackFieldWindow("MyField,-2,0)[0]

例 3:TrackFieldWindow("MyField,0,3)[2]

例 1: 各フィーチャで評価されると、表に次の結果が表示されます。

評価されたフィーチャ

結果

10

[10,20]

20

[10, 20, 30]

30

[20,30,40]

40

[30,40,50]

50

[40, 50]

例 2: インデックス 2 で評価されると (値は 30)、10 が返されます。

例 3: インデックス 2 で評価されると (値は 30)、50 が返されます。

TrackGeometryWindow (<開始インデックス>、<終了インデックス>)

指定された時間のインデックスのジオメトリを表す値の配列を返します。ウィンドウ機能により、時間を前後できます。条件式は、トラックの各フィーチャで評価されます。

  • 現在のフィーチャはインデックス 0 です。
  • 正の値は、将来発生する (現在の値の後にある) フィーチャを表します。たとえば、1 は配列の次の値です。
  • 負の数字は、過去に発生した (前のフィーチャの前にある) フィーチャを表します。たとえば、-1 は配列の前の値です。

MyField は、[10, 20, 30, 40, 50] の値を順番に並べ替えました。フィーチャのジオメトリは、[{x: 1, y: 1},{x: 2, y: 2} ,{x: null, y: null},{x: 4, y: 4}, {x: 5, y: 5}] です。式はトラック内の各フィーチャで評価されます。返される結果には、開始フィーチャが含まれ、終了フィーチャは含まれません。

例 1:TrackGeometryWindow(-1,2)

例 2: ポリライン データセット上の TrackGeometryWindow(0,1)[0]

例 3: ポリゴン データセットの TrackGeometryWindow(0,1)[0]

例 4: 前のポイントの X 値となります (TrackGeometryWindow(-1,0)[0]["x"])

例 1: 各フィーチャで評価されると、表に次の結果が表示されます。

評価されたフィーチャ

結果

10

[{x: 1, y: 1},{x: 2, y: 2}]

20

[{x: 1, y: 1},{x: 2, y: 2} ,{x: null, y: null}]

30

[{x: 2, y: 2} ,{x: null, y: null},{x: 4, y: 4}]

40

[{x: null, y: null},{x: 4, y: 4}, {x: 5, y: 5}]

50

[{x: 4, y: 4}, {x: 5, y: 5}]

例 2: ポリラインは次の形式で返されます。 [{"paths":[[[-180,-22.88],[-177.6,-23.6]],[[180,-18.099999999999994],[179.7,-18.4],[179.4,-18.7],[178.9,-18.9],[178.5,-19.3],[178.2,-19.7],[178.4,-20],[178.8,-20.2],[178.9,-21.8],[179,-22.2],[179.4,-22.7],[180,-22.88]],[[-178,-17],[-178.8,-17.3],[-179.2,-17.5],[-179.6,-17.8],[-179.9,-18],[-180,-18.099999999999994]]]}]

例 3: ポリゴンは次の形式で返されます。[{"rings":[[[-7882559.1197999995,6376090.883500002],[-7893142.474300001,6042715.216800004],[-8544018.775999999,6045361.0554000065],[-8544018.775999999,6376090.883500002],[-7882559.1197999995,6376090.883500002]]]}]

例 4: インデックス 2 (値は 30) で評価: 2

TrackWindow(<値 1>, <値 2>)

指定された時間のインデックスのジオメトリとすべての属性を表す値の配列を返します。ウィンドウ機能により、時間を前後できます。

  • 現在のフィーチャはインデックス 0 です。
  • 正の値は、将来発生する (現在の値の後にある) フィーチャを表します。たとえば、1 は配列の次の値です。
  • 負の数字は、過去に発生した (前のフィーチャの前にある) フィーチャを表します。たとえば、-1 は配列の前の値です。

MyField は、[10, 20, 30, 40, 50] の値、および objectIDglobalIDinstant_datetime フィールドの値を順番に並べ替えました。フィーチャのジオメトリは、[{x: 1, y: 1},{x: 2, y: 2} ,{x: null, y: null},{x: 4, y: 4}, {x: 5, y: 5}] です。式はトラック内の各フィーチャで評価されます。返される結果には、開始フィーチャが含まれ、終了フィーチャは含まれません。

例 1:TrackWindow(-1,0)[0]

例 2:geometry(TrackWindow(-1,0)[0]["x"]

例 1: 各フィーチャで評価されると、表に次の結果が表示されます。

評価されたフィーチャ

結果

10

20

[{"geometry": {x: 1, y: 1}},{"attributes": {"MyField" : 10, "trackName":"ExampleTrack1"}}]

30

[{"geometry": {x: 2, y: 2}},{"attributes": {"MyField" : 20, "trackName":"ExampleTrack1"}}]

40

[{"geometry": {x: null, y: null}},{"attributes": {"MyField" : 30, "trackName":"ExampleTrack1"}}]

50

[{"geometry": {x: 4, y: 4}},{"attributes": {"MyField" : 40, "trackName":"ExampleTrack1"}}]

例 2: インデックス 2 (値は 30) で評価: 2